傀儡伽羅倶利

主に阿紫花受。

060

しろがね&阿紫花英良

他力本願

自分がダメでも他の誰かが…って、面倒事を人に押しつけて1人でさっさと楽になる。と同義語のよ〜に感じてしまう…

皆が鳴海に感化されて同じ事言い出したらど〜するよ?

最後に残った誰か1人が責任持ってど〜にかしてくれるの?

059

加藤鳴海×阿紫花英良

ガタガタガタッ

他のしろがね達とは戦いの最中に散り散りになったきりで薄暗がりの中、1人下層への道を探す鳴海の背後で突然音がした。

“敵か!?”

振り返る鳴海の体に緊張が走る。

だがそこには動くものの姿は何も無く、視線の先には上のフロアの抜けた床や破壊した自動人形や、そんな残骸に混じってポツンと1つのスーツケースが転がっているのが見えた。

ガタッ

音は確かにスーツケースから聞こえていた。

何処かから漏れてくる光に浮かび上がるスーツケースに見覚えは無かったが、大きさから見てそれはしろがねの内の誰かがマリオネットを入れて持ち運んでいたものの1つに違いなかった。

近寄ってみると中から微かに音が聞こえる。

………ぜ、ぜ

ケースに遮られて酷く聞き取り辛かったが、聞き違える筈もない。

苦し気な、浅い息遣い。ゾナハに特有の呼吸音。

“ミンシア?? 何だってこんなモンの中に!?”

この地に居る者の中で、ゾナハに罹る可能性があるのは彼女しかいない。

「おい、しっかりしろ! 今出してやるからな!!」

怒鳴りながら鳴海は、横たわるスーツケースに手を掛けた。

058

白銀&白金&フランシーヌ

突撃! 錬金術師

…やっぱり…兄さん…フランシーヌと結婚しよ〜としてたんじゃないか

ジ…ジン…ち…違うんだ…これにはいろんな事情が…

(インの腕の中のフランシーヌ)ニコニコ

う…

やっぱり若い娘の方がいいんだね…このロリコンが!!

誰がロリコンだ誰が!

いえ〜い ロリロリな17歳で〜ス

頼むからそれ以上しゃべらないでくれ…

(ギリ)…許さない…ぜ〜〜〜〜ったい許さな〜〜い!!!

ドガガガガガ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

な、なんだ この人型達は…? ま、まさかマリオネット!!??

そう…その名もステキ…自動人形!!! この娘と兄さんの間を永久に引き裂くため…僕は悪魔になる!!

インさ〜〜ん…

命の水によって永遠の命を得て 二度と会えない時間の彼方に離れ離れにしてやる!!!

アホかお前は〜!!! これ以上話をややこしくするな〜〜!!!

アホとは何だい 兄さんのバカ〜!!! 恋する男の純情踏みにじっといて〜〜!!!(カチッ)

遠距離恋愛は手紙代とかかかって大変ですよ〜〜〜

あんたはだ〜〜っとれ!!!

カッ(閃光の中に消えるジンとフランシーヌ)

バカヤロ〜〜〜!!!!




(ジンがフランシーヌをさらって姿を消した後)

そうか! ならばジンを捜し出せばい〜わけだな!? よ〜〜し!! 必ず見つけだして責任とらせてやる!!!

あんたの弟を見つけて制裁を加えるんだね! それならおいらも手伝うよ!!

頼むぞ(フランシーヌに引き取られていた)少年A!!

やるぞ〜〜!! エイエイオー!!!

よし! 少年Aいくぞ! ジンを捜す旅へ!!

うんっ! あ…でも…捜すといっても…あてはあるの?

はっ…(冷や汗たら〜り)

フッフッフ〜〜 それならば僕にまかせてください〜〜

ガバッ(地中から腕が!)

わっ!…ゾ、ゾンビ!?

よいしょ!(地中から少年が現れた!!)

し、死んだハズの少年B!?

ひどいなおじさん 人をゾンビ扱いするなんて

しょ、少年B…お前、死んでたハズじゃ…(死んで埋まってたんならゾンビじゃないか)

それは…フランシーヌお姉ちゃんが泥棒して投獄されたんで食べる物がなくなって飢え死にしそ〜だったから…仮死状態になって眠っていたんです…これぞ錬金術、死んだフリ!!

れ、錬金術!?

こんなこともあろ〜かと町の錬金術師のおじさんに、いろいろ錬金術を習っていたんです

こ…こんなこともって(無料でも教えてくれるのか!? 砂金払って入門した私の立場は…)……そ…それはそうと…さっき僕にまかせろって言ってたのは…

そう! まさに本題はそれですね!! お姉ちゃんの居場所なら…僕にはすぐにわかるのです!!(必然的にお姉ちゃんを連れ去った男の居場所も判るとゆ〜寸法!)

え…? ど、ど〜やって…?

なぜなら!!! お姉ちゃんにはナイショの発信器がとりつけてあるから!!! この発信源を目指せばあら不思議…!!

あ…あの〜…フランシーヌに発信器つけるって……どこに? ど〜やって?

(ニコ…)僕、錬金術師ですから! 手段はいくらでも…(一緒に住んでたし…)

どんな手段だ〜〜!!?




(逃亡中のジンとフランシーヌ)

(ゾク…)う…

? ど〜しました? ジンさん

なぜか悪寒が…

カゼですか? 気をつけてくださいよ〜〜せっかくの楽しい旅行なのに!!

旅行って…君、今ど〜ゆ〜状況か判ってるの……?

はいっ ジンさんが私を奪って逃げてる駆け落ち不倫旅行で〜ス

ちがう!!

まあまあせっかくのステキな旅なんですから! 失楽園へ向かってゴ〜!!

失楽園ゆ〜な〜!!!




(フランスの片田舎クローグ村の屋敷に住み着いて村を乗っ取り、悪逆の限りを尽くすジン)

は〜〜〜っ ゆかいゆかい は〜〜〜っ 楽し〜♪

 

(ふと高笑いが途切れる)…やっぱり…つまらない…兄さん…今ごろ何してるかな…もう9年間も会ってないから…さみしいよ…会いたいよ…声が聞きたいよ…兄さんも…僕のこと心配してくれてるかなぁ…(思わず涙がポロリ)

ジンさ〜〜ん おやつ食べましょ〜♪

はっ(ゴシゴシ)

あれ? ど〜しました?

元はといえばこの娘のせ〜でこんなことになったのに…なんでこ〜ノ〜天気に…ともかくこの娘を兄さんからできるだけ離さないと…

 

こら〜〜っ ジン〜!!!

 

え!?

 

ドドドン

 

にっ…兄さん!!!? ま…まさか僕を捜しに来てくれたの…?(きゅん♪)

 

そこにいることは判ってるんだジン!!! 早くフランシーヌを解放しろ!!!

 

ピキッ

あっ インさん!! は〜い 私はここで〜ス!! 旅姿がなんてりりしい…まさに捕らわれの姫を助けに来てくださった勇者…ああなんてロマンチック…(きゅん♪)

誰が渡すもんか〜!! あっかんべろべろべ〜〜〜!!

 

ーーーったく あのバカ…さらに! なんの関係もないこの村をおもしろ半分でのっとって行った数々の悪行!! 今日とゆ〜今日こそ許さん!!!

 

なっ…何だよ!! 何だよ何だよ何だよ〜!! 人をまるで悪モノみたいに〜〜!!!

 

じゅ〜ぶん悪モノだお前は〜〜!!

 

も〜っあったまきた!! 兄さんのバカ!! ぎゃふんとゆ〜目にあわせてやる!!! こら下っぱ村民ども曲者が村に進入したぞ!! 成敗してこい!!

はあ? 曲者? 何言ってんだべ 一番の曲者はあんたでねぇか!! HAHAHAHA

(ぴきっ)ぐだぐだ言わずに行け〜木っ葉村民!!




(戦わずして逃げ散る村民達! ついにイン達はジンが立て籠もる館の入り口に辿り着いた!!)

ーーーったくどいつもこいつも役立たずめ…やはり頼れるものは自分のみ!! 白金印のいつの間にかトラップまとめて発動〜〜!!(ぐいっ)

ドゴゴン!

うわっ

ぐぐぐ〜〜っ

おわ〜っ

ガラガラガラガラズン!

ぐっ

 

フフフ…この地獄のトラップの数々…

どひゅひゅ!

ちっ

くるっ! バン!

わあっ

 

あ〜っはっはっ…果たしてくぐり抜けられるかな〜〜〜!!?

ドドドドド

うおぉおぉおぉ!

 

な…なんで…そんなにまでして…そんなにフランシーヌを助けたいの?

キャ〜〜 インさ〜ん ステキ〜〜〜♪

そんなにフランシーヌのことが…好きなの…!?

 

あのバカを早くひっ捕まえて…きつ〜いせっきょ〜くれてやる!!!

 

そんなに…フランシーヌが…

 

早く…ジンに…

ドバン!

ゼエッゼエッ…ゼ…ハ〜…や…やっと見つけたぞ…ジン!!!

ズズズズン

……

さあ! フランシーヌを放せ!!!

〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

それから村人を解放して…とっととうちに帰るぞ!!

やっぱりフランシーヌの方が好きなんだね!!

(耳元で怒鳴られてキ〜〜ン)………? …は? いやそ〜ゆ〜ことじゃなくて 私はお前を連れ戻しに…

兄さんの裏切り者〜〜〜!!!

……?

 

15巻のあれそれより…こっちの方がまだ心情として理解できるな〜。

この場合、白金(ジン)ハート白銀(イン)で尚かつ、フランシーヌハート白銀(イン)

最終的には、白金(ジン)ハート白銀(イン)で終わっちゃうんだけど(笑)

057

才賀勝×阿紫花英良

戸惑う羽佐間…勝は門前から電話を!!

特攻人形遣い:第248話:闇夜の国から

前号まで
羽佐間が黒賀に戻って10日が経過した。無関心なしろがね(エレ)達をよそに、勝は屋敷の門前から電話を…!!

「坊主、おまえどっから電話…」

「羽佐間さん、10数えるあいだに出てきてよ。でなきゃ乗り込むからね!!
いちにぃさんしぃごぉろくしちはちきゅうじゅう〜〜!!」

「わわっ、待っ…」

ピッ。

ダッ、ガッ、がしっ

携帯を切ると勝は、屋敷の壁に問答無用でよじ登り始めた。

「殺し屋の屋敷に不法侵入とはいい度胸だな」

不意に背後から声がする。

振り返るとそこには黒ずくめの銀髪の男、ジョージ・ラ・ローシュが立っていた。

「ジョージさん!? なんでここが?」

「黒賀の場所を聞きに来て、携帯まで貸せと言うのだからイヤでも判るというものだ」

「来たんだったら手伝ってよ! 羽佐間さん、軽井沢で僕に付いたからきっと制裁受けてるに違いないんだから!!」

「人聞きの悪いコト言うもんじゃねぇぜ」

壁に腰掛けた勝の足下で通用口が開き、1人の男が現れた。

「金井さん…」

「そんなに大騒ぎしなくても会わせてやるぜ。羽佐間にも…阿紫花にもな」

「!!」

ザザッ

「何が10以内だあのガキ! え〜いなんでこうこの家はムダに広ぇんだ!!」

羽佐間は心の中で毒づきながら広い屋敷の庭を玄関に向かって走っていた。

と、向かって歩いてくる影に気付き、羽佐間は立ち止まる。

「お…」

屋敷の主人、金井の後ろには勝、更にジョージが続く。

「羽佐間さん!」

羽佐間に気付いた勝が駆け寄ってきた。

「阿紫花さんが戻ってるってホントなの!?」

「金井てめぇ!!」

羽佐間が金井を睨む。

「いつまでも隠しておけるモンでもねぇだろ」

「なんで隠すの!? 阿紫花さんに会いたいよ!」

勝は羽佐間に縋り付いた。

「お願い…」

「ーーー」

広い屋敷の隅にひっそりと建つ古い蔵の中に勝達を案内しながら金井は経緯を説明する。

「阿紫花を見つけたのは1か月前だ」

「阿紫花の目的地だったサハラの隣ーー日本からの空路の中継地点でもある××で、俺らと同じ闇社会の人間に飼われてたんだ。だからこそ発見もできたワケだが」

「飼われ…?」

「買い戻すのに時間がかかってな…そこだ」

蔵の床に開いた穴から地下に延びる階段を指し示した。

金井はそこから先には進もうとせず、代わりに羽佐間が先頭に立ち、木製の階段を軋ませながら暗い地下に降りてゆく。

「何ここ、地下室なの? ひどい臭い…ホントにこんなトコに阿紫花さんがいるの!?」

ミシッ

勝が羽佐間に詰め寄ろうとしたその時、暗がりの奥で物音がした。

振り返った勝の目に映ったのは木製の太い格子。そしてその奥には変わり果てた阿紫花の姿。

痩せ衰えた四肢、削げた頬、落ち窪んだ眼。

「…あ…し、はな…さん…?」

勝はあまりの衝撃に立っていることができず、へたへたとその場にしゃがみこんだ。

「ーーな、何こんなトコに閉じ込めてるの! 出してあげてよ早く!」

溢れ出した涙を拭うのも忘れて勝が叫ぶ。

「早く!!」

その声が届いたのか、虚ろな視線で足下を見つめながらぶつぶつと何事かを呟いていた阿紫花がふと顔を上げた。

「…旦那…」

ガッ、ギシッ

勝の側に這い寄って来た阿紫花は、格子越しに勝を力任せに抱き締める。

「だ、旦那…」

ほとんど骨と皮だけの腕は、見た目を裏切って信じられない程強い力で勝を締め付けてくる。

「痛いよ、どうしたの阿紫花さん」

「旦那ぁ旦那旦那旦那」

2人の間に挟まれた格子がギシギシと軋んだ。

「違うよ、阿紫花さ…」

「旦那ぁ」

抱き締めながら、阿紫花の躯がガタガタと激しく震え出す。不自然な汗、乱れはじめる呼吸。

「!?」

「だ、だん、だんな、だだだ……あーーーーーーッッ」

大きく仰け反って痙攣のような震えが阿紫花の全身を襲う。

「兄貴!!」

何時の間にか格子をくぐって阿紫花の背後に回り込んでいた羽佐間が怒鳴る。手の中の何かが薄暗い中光を弾いて小さく光っていた。

「あーーーー」

振り返った阿紫花は羽佐間の手の中の光、小さなアンプルを奪い取ろうと勝から離れもつれる足で羽佐間に縋り付く。

「羽佐間さん? 何ソレ。まっ…」

「ジョージ、坊主連れて外出てろ!!」

黙って立っていたジョージはひょいと勝を担ぎ上げると足早に階段を昇る。

「やっ、やめてぇえええ!!」

階段を昇り切った所で降ろされたが、勝は座り込んだまま動けなかった。

あのアンプルの正体を聞くのが怖くて口を開くこともできない。

他の誰もが口を聞こうとせず、苦い沈黙が辺りを支配する。

「薬………か?」

沈黙を破って、ジョージが口を開いた。

「ああ。かなりの重度だ、もう俺らの顔も判らねぇ。この2年半どうやって生きてたのか、考えただけでも吐き気がする」

顔を顰めて答えたのは金井だった。

「病院に…!」

勝の言葉を、だが金井は即座に却下する。

「ダメだ。阿紫花は死んだコトになってんのを忘れたのか!?」

言われて勝はぐっと唇を噛む。

「第一、外に出せばきっとまた行方をくらます。今でさえああして閉じ込めとかなけりゃ逃げ出そうとして手が付けられんくらいだ」

「なんでこんな…こんなの…なんて!?」

どんなに歯を喰いしばってみても勝の涙は止まらなかった。

「あれでもマシになったんだ。最低限の薬で禁断症状を抑えて点滴を続けていたからな。ヤクを抜こうにも衰弱が激しくて体力が保たない様な状態だったんだ」

金井の言葉はしかし何の慰めにもならない。

「彼がずっと?」

地下への入り口を指し示しながらジョージが訪ねる。

「ああ。射つなら自分がやるとー」

薬を射たれて落ち着いたのか、穏やかな表情で眠る阿紫花の脇で放心したように座り込んでいた羽佐間の元に勝が戻ってきた。

「バカだよ、羽佐間さん」

「だから会わせたくなかっ…」

「そんな問題じゃないでしょ! 仲間に薬射つなんて!」

一旦言葉を切ると勝は何かを決意した表情で再び口を開く。

「僕は阿紫花さんを正気に戻すよ」

「バッ、カンタンに言うんじゃねぇ! 禁断症状は酷くなったらあんなもんじゃねぇんだぞ!」

「黙ってよ。羽佐間さんには任せておけないもの、僕がやる!!」

他ならぬ自分が、慕って止まなかった阿紫花に薬を射ち続けてきた。その負い目に羽佐間は口を噤む。

「だから…羽佐間さんはもうこんなことしなくていいんだよ」

視線を合わせるようにしゃがんだ勝は真直ぐな瞳で羽佐間を覗き込む。

「皆で一緒に帰ろうよ」

遅れて降りてきた金井が声をかけた。

「必要なモンがあればこっちで用意するぜ」

「金井…」

「阿紫花さんをここから出してもらうよ」

立ち上がりながら勝が応える。

「善治おじさんの屋敷なら空いてる部屋がいっぱいあるから。こんな手をのばしたら薬が手に入る場所じゃ話にならないよ」

「判った。今夜にでも阿紫花を運ばせよう」

勝の迷わない視線に、金井は小さく笑みをこぼす。

「ーーなぜあの子どもに?」

背後のジョージが問う。

「ソレをさせるためにわざわざあの子どもを引き入れたのだな。何故だ、薬の事ならお前はプロだろう」

「プロだから判るのさ。俺が無理矢理薬を抜いても阿紫花はまた必ずやる」

振り返らないまま金井が答える。嬰児の様に丸くなって眠る阿紫花を優しく抱き締める勝を見つめながら。

「だが、あのガキならあるいは…」

056

プルチ×阿紫花、勝×阿紫花

 

「あれぇ、阿紫花さん、そんな格好してどうしたの?」

「正月ですからね、三番叟でさ。」

「さんばそう?」

「めでてぇ席で人形に舞わす題目で。面倒なんであたしゃ普段はやらねぇんですが、先の軽井沢で随分人形遣いが死んじまいやしたからねぇ。人手が足りねぇってんで駆り出されっちまったんでさ。」

(軽井沢…しょぼん)ごめんね、あしはなさん…」

「へ? 坊やのせいじゃありやせんよ。わりぃのはだん…才、賀貞義でぇ。うかうかと騙されちまったあたしらも迂闊でしたしね。坊やぁ悪かねぇですよ。」

「そうかなぁ…」

沈黙…

「そ、そうだ、坊や。今日の人形舞いは急に決まったんで相方がまだ決まって無いんでさ。どうです、坊や、一緒にやってみやせんか?」

「僕が? 楽しそうだけど、できるかなぁ。」

「繰りと口上はあたし1人でもできやすから、坊やは御祝儀受け取ってくれりゃぁ良いんで。でも坊やは覚えがいいですからね。終わる頃にゃできるようになってんじゃねぇですかい?」

「ふふっ、そうかなぁ。うん、僕いっしょうけんめい覚えるよ!」

「へ、そいじゃその格好をどうにかしねぇと…確かあたしのガキん頃の装束があったかと…羽佐間ァ、あたしの昔の装束出してくんな!」

ドタドタ、ガタン。

「あ、兄貴、昔の装束って…坊主が兄貴の相方努めるんですか!? お、俺がやるんじゃねぇんですかぁ!!??」

「誰がおめぇさんとヤルなんて言ったんです。時間がねぇんでぇ。さっさと坊やに合いそうな寸法のぉ探してきな!」

「へ、へい!(兄貴と人形繰り…楽しみにしてたのに〜〜)

ドタドタドタ。

「…この服(普通のTシャツにトレーナー)じゃダメなの?」

「三番叟は白浄衣と昔っから決まってるんで」

「ふぅん…羽佐間さん、がっかりしてたみたいだけど…良かったのぉ?」

「むさっ苦しい野郎と一緒よりゃ、坊やと一緒の方がよっぽど楽しいってもんでぇ。」

「あはは、羽佐間さんに悪いよぉ。」

(ふと人形を見上げて)これってぷるちねらだよね? あれってしろがねが壊しちゃったんじゃなかったっけ?」

「へ、見事にバラバラにされちまいやしたけどね。壊れた手足を拾ってきて直したんで……完全に元通りってワケじゃねぇんで、もう荒事には使えやせんがね。」

「あらごとって?」

「押し込み強盗、殺し…人形同士で切った張ったなんてなもう無理ですねぇ」

(そっか、阿紫花さんって殺し屋さんだっけ…)

ドタドタドタ。

「兄貴〜〜。ありました〜〜!!」

「おっ、見つかったようですね。じゃ、着替えて、行きやしょうか。」

「うん!」

055

阿紫花

 

三番叟NG版。阿紫花は白浄衣で、人形がこの衣装を着るのが正しい。

054

勝×阿紫花

 

053

阿紫花

 

…人形師の宿命・人形遣いの宿業 苛烈に美しく限りなく儚い…

人形師を求め、人形師に従い、(人形師と共に?)戦う絶対的な宿命を生まれながらに背負う人形遣い
愛より力、心より技。
狂おしく麗しい凶器・懸糸傀儡を戦わせるのは人にあらず…

人にあらずとゆ〜としろがね? って気もしますが…

命の水を御猪口に一杯飲むだけで即席にできちゃうしろがねより、十数年の訓練と教育で作り上げられた黒賀の衆の方が業が深いかと。

詐欺まがいとはいえ…自ら選びとった運命なしろがねに対し、黒賀に生まれ落ちた時点で裏家業決定な兄貴達…

兄貴達の人でなしさ加減は、生まれついての資質っつ〜より環境だもの。村ぐるみで非合法に手を染めてるんだから…非合法を是として育つことに疑いを挟む余地なんて無いものね。

兄貴達に選択肢は無かったのです。

矯めて歪めて捩じ曲げて余計な芽は端から摘み取る

そ〜ゆ〜目に遭って兄貴は人形を使うより他に何もできない(なおかつ人形使ってやることと言えば盗みや殺しばかりの)外道に育っちゃったのよ♪

ちなみに元ネタはファイブスター物語10巻の表紙と帯。

052

鳴海&勝&阿紫花

 

051

阿紫花

 

 

何を泣く、アシハナ。何も悲しむ必要は無い、怖れる必要も無い。私がキミの側に居て、キミを守るのだから…